株主が分散している会社の経営者がリタイアする前にやるべきこと

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磯村 崇


大学卒業後、会計事務所・M&A専門会社(現在、東証1部上場)を経て、平成20年株式会社コスモスコンサルティングに入社。

「答えは、社長の心の中にある」がモットーで、社長の話に真摯に耳を傾け、企業の発展と存続のため、社長と後継者の真の気持ちに重きを置いた事業承継対策・勇退のサポートに取り組んでいる。

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常日頃、「株主が誰か?」ということは、あまり考えないことですよね。でも、事業を後継者(ご子息なり第三者)に引き継ぐ時には、この株主構成がネックになることがあるので注意が必要です。

株主がたくさんいると、真の株主を確定させるのも一苦労です。また、時間が経過していくにつれ、些細なことで関係が悪くなって疎遠になってしまったり、株主が退職したり、亡くなったり、真の株主がわからなくなってしまうということもあります。

この記事は、こんな人におすすめです!
  • 株主が分散している人
  • 息子に事業をバトンタッチしようとしている人
  • M&AやIPOを目指している人

株式が分散していく3つの理由

事業承継を意識するのであれば、株主の分散は絶対に避けるべきです。「船頭多くして船山に上る」という諺もありますが、指示を出す人が多過ぎると、組織はまとまりがつかなくて、とんでもない方向に進んでしまいます。特にカリスマ亡き後は、とんでもないことに陥ってしまいがちです。

皮肉なことことですが、成長意欲が強く、チャレンジ精神のある会社こそ、株主が分散していく傾向があります。働く人のモチベーションを高めようとか、相続対策という意識が働いてしまうからです。株主が分散していると、M&AやIPO(新規上場)などの強い経営権が必要なときには、株式をかき集めるために、奔走するという事態になってしまいます。

ワシノ社長
成長意欲が高い会社ほど、株主が分散するってのは、悲しいもんだなぁ。
フクダ博士
そうじゃな。それだけとは限らないが、分散する理由は主に下の3つじゃ。

❶ 共同経営者の存在

立ち上げの段階で、二人以上で創業すると、株式が分散します。方向性の同じうちは良いですが、方針がズレはじめると、空中分解してしまうこともあります。仮に、共同経営がうまく続いたとしても、それぞれの子供が、等しく会社の経営に参加するケースは多くありません。結果として、経営に参加している株主と経営に参加していない株主に分かれることになります。

❷ 役職員に対するインセンティブプラン

役職員に対して株式を与えることにより、経営参加意識が高まり、役職員の財産形成にもつながるため、導入する企業が少なくありません。ただ、過度に持分を与えると、誰が経営者かわからなくなりますし、退会時の取扱いを定めてないと、もめる要因にもなります。。

❸ 過度な相続対策

会社が成長していくと、株価は高くなります。成長著しい会社の株式の承継は、多額の税負担や後継者以外の相続人の財産の取り分を、慎重に見極める必要があります。株式以外に資産がないような場合は、経営に関与しない親族に株式が分散されます。また、株式の承継にかかる税負担を軽くするために、同族以外に株式を分散してしまったというケースも見受けられます。

ワシノ社長
共同経営者は仕方ないけど、インセンティブや相続対策は経営者の自己判断で何とでもできるんじゃないか。
フクダ博士
そうかもしれんが、実際に株主が分散しているケースは多くあるんじゃ。目先の利益に囚われると、ついうっかりということが案外あるもんなんじゃ。

株式を買戻すのは、並大抵じゃないよ!

株式の半分以上把握していないそこのあなた、事業承継しようと思ったら、呑気になんてしてられません。株式を集めるための調査は、本当に大変です。まずは、最低限51%の株式をかき集めるところから始めます。そのために頼りになるのが、株主名簿(場合によっては別表二)です。

株主名簿を頼りに、株主行脚の旅が始まります。先代の兄弟や遠い親戚筋に頭を下げながら、株式を集めていきます。日本全国どころか、時には海を超えるなんてことも・・・。株主が既にお亡くなりになられて、相続を重ねている場合は、株主と出会えないケースすらありえます。こうなってしまったら、株式の買い戻しは難しくなります。

ワシノ社長
共同経営者は仕方ないけど、インセンティブや相続対策は経営者の自己判断じゃないか。
フクダ博士
目先の利益に囚われると、ついうっかりということが案外あるもんなんじゃ。

株式が分散している会社を売却する場合の注意点

実際に、株式が分散している場合は、株主の同意を取り付ける必要があります。他の株主に対して、お話をしなければなりません。売り手の大株主である社長が、他の少数株主に説明し、丁寧に理解を求めていくことになります。実務的には、社長が少数株主から委任状を提出してもらい、株式の譲渡契約を売り手経営者が代理として行います。

株主の意見がまとまらないと、株主総会の特別決議ができないといった事態も出てきます。特別決議が出来ないと、株式名義の変更の決議ができないということになってきます。このような悩みを後継者に残さないよう、株式の分散は絶対に避けるべきです。

ワシノ社長
株式名簿の変更ができないってことは、M&Aできないってことか。それは困ったもんだな。
フクダ博士
M&Aだけじゃなく、重要な決定が何一つできなくなるというのが、大問題なんじゃ。

非上場会社の所有と経営

一般的に、株主は4つの権利を持っていると言われています。

  1. 株主総会における議決権
  2. 配当を受け取る権利
  3. 会社解散時に残余財産の分配を受ける権利
  4. 株式を譲渡する権利

株主と経営者の利害は、基本的に一致しますが、対立する点もあります。上場会社の株主は、配当とキャピタルゲインが得られることを期待しています。上場会社の株式は、株主にとっては金融資産となります。

一方、非上場会社の株式は、ほとんどの会社で譲渡制限があり、株価も明らかでないので、簡単に換金できません。そのため、非上場会社の株式は、金融資産とは言い難く、所有(株主)と経営(社長)が一致してはじめて、株式価値を高めることができると言えます。

ワシノ社長
いくら価値があると言っても、換金できなければただの紙切れだもんな。
フクダ博士
残念ながら、そうなんじゃ。だからこそ、所有と経営を一致させる必要があるんじゃ。

分散した株式を集約する方法

では、実際に分散した株式は、どのように集めたら良いのでしょうか。主に、3つの選択肢があります。

❶ 後継者が他の株主から買い取る

実際に株券がある場合は他の株主から株券を受け取り、後継者が会社に対して株主名簿の書換請求を行います。もし、株券がないときは他の株主と株式の譲渡契約を結んだ上で、前株主と後継者がともに株主名簿の書換請求を行います。

❷ 会社が後継者以外の株主から買い取る

会社が株主総会等を通じてお知らせをした上で、取得する方法です。いわゆる、金庫株と呼ばれる手法で、後継者ではなく会社が買い取る方法です。買い取った株式については、会社の保有期間中はその分の議決権の効力がなくなります。そのため、後継者のもつ株式の議決権割合が高まります。

❸ 会社が新株を発行する

会社が新株を発行し、後継者に割り当て、後継者の株式保有率を高めるという方法です。こちらも株主総会での特別決議が必要となります。

まとめ

分散した株式を買い取るには、必ず売り手の同意が必要となります。会社が大きく成長した後では、株価も高くなっていて、同意を取り付けるまでに時間がかかることも想定されます。収集がつかなくなる前に、できるだけ早い段階で株式を集約することが重要です。分散した株式を集約できるのは、オーナー社長しかいません。

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