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【スタンフォード大学】リーランド・スタンフォード夫妻の大学創立物語

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豆腐屋の二代目である父親が廃業し苦労した経験から、事業を継続することの難しさを実感。苦しさを打ち明けられない社長の心の内に関心を抱くようになる。 会計事務所・東証プライム上場(旧東証一部上場)のM&A専門会社を経て、勇退を志す経営者を応援するサイト「社長勇退ドットコム」管理人を務める。一方で、メルマガ、ブログ、YouTubeなど幅広く情報発信。熱血M&Aアドバイザーが主人公の漫画「ロマンとソロバン」は、集英社の第15回「グランドジャンプ漫画賞」の佳作を受賞している。 ☞ 詳しくはこちらから

世界を代表するIT企業は、シリコンバレーから誕生しています。これは、チャレンジする人の数が圧倒的に多く、挑戦する人を応援しようという文化があるからです。その一翼を担っているのが、スタンフォード大学です。

さて今回は、シリコンバレーにおけるスタンフォード大学の役割について、お伝えしたいと思います。

この記事は、こんな人におすすめです!
  • スタンフォード大学に興味がある人
  • 海外留学を検討している人
  • 子どもに高い教育を受けさせたいと考えている人

スタンフォード大学とは

名称 Stanford University(スタンフォード大学)
国・都市 アメリカ / カリフォルニア州 / スタンフォード
学校形態 大学大学院
住所 450 Serra Mall, Stanford, CA 94305 アメリカ
電話番号 (650) 723-2300
公式サイト http://www.stanford.edu/

スタンフォード大学は、1891年にカリフォルニアに創立された世界的な名門大学です。歴史は浅いですが、殻にはまらない革新的な大学経営を行い、財政状況は極めて良好です。また、広大で美しい最先端のキャンパス、温暖な青空が広がる気候、そして世界最高水準の教育は、世界中の人を魅了してやみません。その広大なキャンパスは、山手線の内側の半分以上に相当し、今も世界最大級と言われています。校風はカリフォルニアの気候のようにとてもオープンで、学生たちの声や要望、世界情勢に応じて柔軟なカリキュラムとなっています。全米でも1.2を争う人気大学です。

スタンフォード大学の卒業生

卒業生には、政界やメディア業界、コンピューター関連企業の創業者が多いのも特徴です。ちなみに、ヤフーやグーグル、ナイキの創業者もスタンフォード大学の卒業生です。我々の生活に欠かせない多くのハイテク技術や商品は、ここから生み出されています。一方、スポーツ界では、テニスのジョン・マッケンローやゴルフのタイガー・ウッズも輩出しています。ここまで文武両道を誇る大学というのも、他でも例がありません。

スタンフォード大学のはじまりは、ゴールドラッシュと深く関わっています。

スタンフォード大学を造った リーランド・スタンフォード

1948年1月24日、カリフォルニアのサクラメントで、ジェームズ・ウィルソン・マーシャルさんが砂金を見つけたことで、ゴールドラッシュは始まりました。金が見つかったニュースは瞬く間に世界中へと広まり、たくさんの人が一攫千金を夢見て、カリフォルニアに集まってきたのです。

鉄道王 リーランド・スタンフォード

大陸横断鉄道―政商スタンフォード (ザ・アメリカ 勝者の歴史)

多くの人が訪れたので、カリフォルニアの金は、20年程で掘り尽くされてしまいました。実は、ゴールドラッシュで大金を手にしたのは、一握りの人たちでした。リーランド・スタンフォードさんは、その一人です。スタンフォードさんは、雑貨商として築いた財産で、セントラルパシフィック鉄道会社を設立。そこでも、一山当てて、莫大な富を手にしたのです。

リーランド・スタンフォード・ジュニア大学

しかし、幸せな生活は長くは続きません。一人息子のリーランド・ジュニアさんは、ヨーロッパ旅行中に腸チフスのため15歳という若さで病死してしまうのです。スタンフォード夫妻は最愛の息子を失ったことを深く悲しみ、一人息子の名前を永遠に残すために、大学を造ることを決めたのです。スタンフォード大学の正式名称を、リーランド・スタンフォード・ジュニア大学と言うのは、このためです。

我々の未来は子供たちにかかっている。その子供たちに最高の教育を提供することが、最高の未来を創造するための最良の手段である。そうすることで、息子に託したかった夢を実現できるはずだ。

当初、スタンフォード夫妻は必ずしも西海岸で大学を造ろうとは、考えていませんでした。視察のため、東海岸にある伝統的な大学を訪問中のことです。ハーバード大学に寄付を申し出たのですが、担当者から「いくらかかるかご存知ですか」と、鼻で笑われたそうです。御婦人のジェーンさんは、宝石類ほとんど着けず、ラフな格好で訪れたため、貧乏人と思われてしまったのです。このことに激怒した夫妻は、自らの手により、カリフォルニアに大学を創ることにしたのです。

人を見かけで判断すると、ろくなことになりませんね。ハーバードとスタンフォードの因縁は、こういったところにあるのかもしれません。

リーランド・スタンフォードの意思を継いだ二人の教授

シリコンバレーの父 フレデリック・ターマン

当時はスタンフォードの優秀な学生は、卒業すると東部にある有名企業に就職して、それっきり戻って来ませんでした。この現状に対して、ターマン教授が考えた解決策が産学連携です。叡智を結集して科学技術と産業を上手に結びつければ、太陽の周りを回る惑星のように、大学の周りに太陽系が形成されていくと考えたのです。

アマチュア無線を自由に使えるターマンさんの研究室には、いつも多くの学生が出入りしていました。その中に、デイヴィッド・パッカードさんとウィリアム・ヒューレットさんという学生がいました。ターマン教授は優秀な二人を自分の講義へと誘い、ベンチャービジネスへと導いていきます。これが、後のヒューレット・パッカードの創業者です。

ターマン教授は、生徒たちに事業を興すことを積極的に奨励します。それが、好循環を生むことがわかっていたのです。

  1. 技術尊重の企業を優先的に大学に誘致する
  2. それらの企業にスタンフォードの学生の雇用を促す
  3. 教授はこれら企業をコンサルする

このように、三方よしの関係が生まれたのです。そして、大学の研究内容は企業から注目され、ビジネスに関係ありそうだとなると、企業側はすすんで研究資金を提供する関係を構築していきました。だから、スタンフォード大学には活力があり、ハイテク企業はシリコンバレー周辺に拠点を置くようになったのです。

トランジスタでノーベル賞 ウィリアム・ショックレー

ターマン教授の採用方針は、「数は少なくてもいいから、第一級の学者を高給で引き寄せる」というものでした。その採用方針に従って採用されたのが、トランジスタを開発したウィリアム・ショックレーさんです。ショックレー教授が果たした重要な役割が、二つあります。1つはテクノロジーを東部から西部へ移植したこと、もう1つは優秀な人材を一つの地に集めたことです。

自らがノーベル物理学賞であるという名声を利用し、アメリカ中から若くて才能ある物理学者や科学者を募り、自ら電話で説得しました。次々と優秀な研究者が集まり、シリコンバレーの素地が作られたのです。それが、大学の特徴となって、今でも色濃く表れています。

スタンフォード大学の特徴

①学者ではなく、経営者

リーランド・スタンフォードさんは「第二のハーバードを作ってもしょうがない」と考え、当時の米国では珍しかった工学部を設けました。技術を中心とした実用的な知識の習得に力を入れたのです。多くの大学が純粋な学問を追究していたのに対し、実用的な学問のあり方を追求していきました。教授陣についても、この目的に共鳴する人材を募りました。フレデリック・ターマン教授は、その最たる例ですね。シリコンバレーに、企業家が多いのも納得できます。

②自由な校風

スタンフォード大学の校訓は、”Die Luft der Freiheit weht”(ドイツ語で、自由の風が吹く)”です。当時の伝統的な名門校の大半は男子校だったのですが、共学校としてスタートしています。また、多くの学校はキリスト教をベースとしていましたが、あえて無宗教の立場を取ったのです。なかなかおもいきった決断です。これは、人種や性別、民族や宗教を問わないことは、優秀な学生を集めることにつながり、教養がありかつ社会の役に立つ人材を育成するという強いポリシーがあったからです。

③親の財布にも優しい学費援助プログラム

スタンフォード大学には、優秀な学生を獲得するため、学費援助プログラムというものがあります。通常、年間約4万ドル(約480万円)の授業料がかかるのですが、家庭年収が12万5000ドル(約1500万円)未満の学生は授業料が無償になります。これって、スゴいことですよね。これだったら、筆者の子どもでもを通わせることができるかもしれません。さらに、家庭年収が6万5000ドル(約780万円)未満であれば、寮費などの下宿代も無料になります。ホント有り難い制度です。

スタンフォードさんを駆り立てたのはコンプレックス!?

 

ゴールドラッシュにより、フロンティア・スピリッツあふれる移民が移り住んだ場所、カリフォルニア。この未開の地に、エコシステムを定着させたスタンフォードさんの功績は素晴らしいと思います。

改めて、スタンフォードさんの人生やスタンフォード大学の特徴を調べていくと、「反権力」というワードがしっくりきます。スタンフォードさんを駆り立てたのは、東部(権威)に対する強烈なコンプレックスではないかと思います。おそらく、ハーバード大学に断られたことが、大きなバネになったのです。”反権威”という思想がシリコンバレーに与えた影響は、計り知れません。

ことを成し遂げる人間には、必ず何か理由があり、強烈な動機が存在します。あなたも心に飼っているコンプレックスを大切に育ててみてください。それが信念に基づくものであれば、「いつかは超えてやろう」という、追いつけ追い越せ精神は、きっとあなたを成長させてくれる起爆剤になるはずです。

筆者のひとりごと

知識を身につけるためであれば、日本の大学も海外の大学にも負けていません。しかしながら、大学の真の価値を決めるのは、それ以外の要素もたくさんあります。偏差値が高いから、名門大学というわけではないのです。歴史、風格、ネットワーク、設備、ブランドイメージ、集まる人材、総合的に優れているから人が集まってくるのです。

日本人のポテンシャルは、まだまだこんなもんじゃないはずです。コンプレックスを上手に活用して、世界で活躍する日本人が増えていくことを心から願っています。

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