ブログ

【二代目必見!】家督を継いだトヨタ創業家 豊田章男社長の苦悩

The following two tabs change content below.
大学卒業後、会計事務所・M&A専門会社(現在、東証1部上場)を経て、平成20年株式会社コスモスコンサルティングに入社。 「答えは、社長の心の中にある」がモットーで、社長の話に真摯に耳を傾け、企業の発展と存続のため、社長と後継者の真の気持ちに重きを置いた事業承継対策・勇退のサポートに取り組んでいる。 詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。 ☞ プロフィール

誰もが、「金持ちの子どもに生まれていればなぁ」と、単純に金持ちに憧れていた時期はあったと思います。もちろん、筆者もその一人です。でも、金持ちは金持ちなりの苦労を背負って生きているようです。

さて今回は、日本が誇る世界の大企業トヨタの豊田章男社長の苦悩について、探ってみたいと思います。

この記事は、こんな人におすすめです!
  • 豊田章男社長やトヨタに興味がある人
  • 二代目など老舗の会社を家督を事業承継した人
  • 自信がなく、どうしても他人と比較してしまう人

同族企業トヨタ 豊田家への大政奉還

toyota_akio02

4月にアメリカのクライスラー社が、6月にはゼネラル・モーターズ社が連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した2009年。世界の自動車産業は激動の年でした。

その年、赤字にあえいでいたトヨタは、6月23日の定時株主総会後の取締役会で、豊田章男副社長(57歳)が社長に就任し、新経営体制が発足しました。各種マスコミで「大政奉還」と大報道されたため、覚えている方も多いのではないでしょうか。

豊田章男社長は就任にあたり、「トヨタで働く皆さんへ」と題するメッセージを全社員に送っています。(以下、抜粋)

テーマ
要 旨
創業の決意
自動車工業を確立し、「国家経済に貢献する」ということがトヨタ創業の決意であった。「貢献」とは、「クルマづくりを通じて人々の暮らしを豊かにしていくこと」と、「地域に根ざした企業として雇用を生み、税金を納め地域経済を豊かにすること」の2つである。足元では赤字に陥り、納税という最低限の務めすら果たせない。悔しい思いで一杯であり、ドン底からのスタートとなる。
危機と成長
70年にわたるトヨタの歴史は戦後の労働争議、1960年代の貿易自由化、1980年代の通商問題など、苦難の歴史でもあった。しかし、そのつど、トヨタはたくましく成長し、グループとしての結束力を強めた。さまざまな危機を通じて、「お客様第一、現場第一の企業文化」や人を育てる「良き企業体質」を築いた。
復活への確信
21世紀に入り、トヨタは急ピッチの拡大を続けた。お客様のニーズに応えるべく、ビジネスの拡大は間違っていなかったが、身の丈を越えた仕事は、やり方や働き方の点で、従来の強みが発揮できていなかったのではないか。「クルマづくりを通じて社会に貢献する」という理念を改めて共有し、「お客様第一」など、トヨタが大切にしてきた考え方を実践すれば、必ずトヨタは復活できる。
ブレない軸
「もっといいクルマをつくろうよ」ということをブレない軸とする。また「1にユーザー、2にディーラー、3にメーカー」という順番が守られてこそ、トヨタの成長が可能になることを肝に銘じておきたい。
ラインアップの適正化
商品開発、商品ラインアップは、「地域中心」に大きく舵を切りたい。地域の実情とトヨタの実力、身の丈を照らし合わせ、「攻めるべき分野」と「退くべき分野」を見定め、ラインアップそのものの適正化(Right-Sizing化)を進める。
技術開発
最重点の環境技術に加え、乗ること、運転すること自体が人々の喜びや楽しさ、感動に結びつくような技術のブレークスルーも必要である。ワクワクするクルマをお客様が「買える」と思われる価格で提供できるよう、つねにもう一段上のレベルを目指していただきたい。
トヨタの主役
改めて、「人づくり」への取り組みを進めていただきたい。会社を動かしているのは経営陣ではなく、一人ひとりのメンバーであり、現場を支えるすべての人がトヨタの主役である。すべてのメンバーをかけがえのない価値を持つ人材に育てられる会社こそが強い会社になる。

( icon-arrow-circle-o-right 参照:トヨタHP「新経営体制の発足」)

満を持しての大政奉還。しかし、豊田章男社長を待ち受けていたのは、“試練”と呼ぶにはあまりに過酷なものでした。

豊田章男社長のコンプレックス

豊田章男社長が就任早々、リコール問題が勃発。トヨタの名声は地に落ちます。YouTubeの動画を見てもわかるように、アメリカの公聴会では、ものすごい質問攻め。まるで、針のむしろです。

聞くに耐えないこの壮絶なやりとりの中に、創業家の誇りを感じさせる豊田章男社長の言葉がありました。

「私は創業者の孫であり、全てのトヨタ車に私の名前がついています。私にとって車が傷つくことは、私自身が傷つくことです。」

この気持ち、創業者一族にしかわからないものだと思います。

また、2013年末、豊田社長は母校の慶應大学での講演で、このような言葉を発しています。

「何しろこんな名字だから」

父親であり社長でもある豊田章一郎さんからは、常にプレッシャーをかけられ、友人や同僚からは、将来の社長候補ということで、いつも特別視されていました。豊田章男社長は、長らくこの微妙な距離感がコンプレックスだったそうです。

「こんな」と表現しているあたり、あまり良い思いをしてこなかったのだと推測できます。常に、豊田家を意識させられ、自分を個人として扱ってもらえない生活は、時には人間不信に陥ることもあったかもしれません。なんとも複雑なおもいの中で、生きてきたことだけはわかります。

テストドライバー成瀬弘との出会い

豊田章男が愛したテストドライバー

44歳の若さでトヨタの取締役に就任したとき、章男さんに一つの転機が訪れます。それはトヨタのテストドライバーを率いる成瀬弘なるせひろむさんとの出会いです。

「こっちは命がけなんだ。運転のことをわからない人に車のことをああだ、こうだ言われたくはない」

章男さんへの厳しい叱責を繰り返します。テストドライバーとは、開発車両の性能評価などを通してエンジニアとともにクルマ造りを担う職人です。取締役だろうが、御曹司だろうが全く関係ありません。

普通だったら激怒してもおかしくない状況ですが、章男さんは違いました。逆に、正直に意見してくれる成瀬さんに信頼をよせるようになったのです。

それ以来、趣味のゴルフを控え、成瀬さんの下で運転の基礎技術を学ぶことになりました。いい運転とは何か。いいクルマとは何か。その答えが「安全」でありまた「楽しい」ということを、現場で直に学んでいったのです。

豊田家の御曹司ではなく、ドライバーモリゾウ

toyota_akio05

その後、2007年からはドイツで開催される24時間耐久レースにも参加し、その活動は今でも続いています。その原点は、もっとクルマ好きを増やしたい、もっと走る楽しさを伝えたいという、成瀬さんから受け継いだおもいでした。

会社が巨大化して利益を追い続けるうちに、誰もいいクルマとは何かということを考えなくなっていました。いわゆる、利益優先主義です。しかし、章男さんは違っていたそうです。現場では、エンジニアやテストドライバーと“感覚”で話をするようになっていたのです。

「クルマの乗り心地は数値では表わせない。乗っている人しかわからない感覚なんです」

クルマの原点”を教えた成瀬さんは、章男さんが社長に就任した翌年の2010年、ドイツで開発車を運転中に帰らぬ人となります。享年67歳でした。豊田章男社長が、今でもハンドルを握るのは、亡き恩師への「弔い」かもしれません。

豊田章男社長がトヨタのリコール問題から学んだもの

週刊東洋経済 2016年4/9号 [雑誌]

豊田章男社長が、アメリカで非難の矢面に立ったことで、社員の意識は明らかに変わりました。社長が最前線で戦う姿を見て、「自社のトップとして親近感を持てるようになった」という声も上がっています。

アメリカでの壮絶なリコール問題について、後に豊田章男社長はこのように語っています。

「この時初めてトヨタのお役に立てると思って、うれしい気持ちもあった」

改めて、創業家の強さを垣間見ました。とんでもない覚悟です。創業家は良くも悪くも、常に色眼鏡で見られてしまう宿命にあります。しかし、そのコンプレックスやプレッシャーを見事に跳ね除けた豊田章男社長、ほんと男前です。

その後も、トヨタには数々の試練が訪れます。

  • 東日本大震災

  • タイ洪水による工場稼働停止

  • 超円高

これらの試練も見事に跳ね除け、トヨタは再び販売台数世界一の座に返り咲きます。2015年3月期決算では過去最高益の更新も囁かれています。今後も豊田章男社長の”ハンドルさばき”に注目です。

筆者のひとりごと

どのような家庭に生まれても、悪いことの一つや二つあると思います。時には、隣の芝生は青く見える時があるかもしれません。でも、現状を嘆いても何も始まりません。できるのは、今しかない今を精一杯生きることだけです。

次は、「大塚家具から学ぶ親子げんかを防ぐ事業承継の方法」をご覧下さいませ(๑˃̵ᴗ˂̵)و テヘペロ

本ブログを、最後までお読み頂きまして有り難うございます。よろしければ、”いいね!””シェア”をして頂くと、励みになります。どうぞ応援よろしくお願いいたします。

是非、あなたを声をお聞かせください
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

  1. アライアンスで活路を拓く!?中小企業の生き残り戦略に潜む注意点
  2. 七夕で願い事が叶う短冊の書き方~あなたの願いは叶います~
  3. 【おすすめ】不動産王トランプが大統領になることで発生する事業承継…
  4. レゴ社の創業一族から再建を託された従業員クヌッドストープ
  5. ネット覇者アマゾンに対抗する!~顧客体験の差別化をはかる3つの方…
  6. 【永久保存版】プーマとアディダスの果てしない兄弟ゲンカの歴史
  7. 【復活】東北楽天を優勝へと導いた”ズブの素人”立花球団社長の戦い…
  8. 黒田官兵衛の人生観~お金や地位や身分に縛られない生き方~
メルマガ登録

最近の記事

勇退の極意
PAGE TOP