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筆者が会計業界に足を踏み入れたのが、平成11年です。会計事務所の仕事にやりがいと充実感を持っていましたが、会計業界にかつてない大きな波が訪れます。企業組織等に関連する法制や企業会計の諸制度が次々と改正されていったのです。
独占禁止法関係
- 持株会社の設立が原則として解禁された。
平成9年6月持株会社設立の原則解禁
平成9年12月銀行持株会社設立の解禁
商法関係
- 合併手続の簡素合理化、株式交換・移転制度の創設及び会社分割法制の検討等、企業組織に関する法改正やその検討が行われている。
- ストック・オプション制度の導入、自己株式の消却手続等に関する法改正が行われている。
平成9年5月 ストック・オプション制度の導入 自己株式の取得・消却手続の緩和
平成9年6月 合併手続の簡素合理化
平成10年3月 自己株式の取得・消却要件の緩和
平成11年7月 分社を含む会社分割法制の試案の公表
平成11年8月 株式交換・移転制度の創設 金銭債権の時価評価の導入
企業会計関係
- 連結ベース中心のディスクロージャーヘの転換、連結の範囲の拡大等が行われている。
- なお、税効果会計、金融商品に対する時価評価等の導入等も行われている。
平成9年6月 連結財務諸表制度の抜本的見直し
平成10年3月 中間連結財務諸表制度の導入
平成10年10月 税効果会計の導入
平成11年1月 金融商品に対する時価評価の導入
参照:「企業組織等に関連する法制や企業会計の諸制度の相次ぐ改正」
これらの改正に加え、平成13年には会社分割法が制定され、企業組織再編税制も整備されました。このことにより、世は”M&A時代”へと突入することになるのですが、筆者はまだそのことに気づいていませんでした。
そんな中、顧問先の会社に対して買収提案がありました。いわゆる、M&Aです。ホリエモンや村上ファンドが、ニュースを賑わす2~3年前の話です。いわゆる、乗っ取りといった類の強引な手法ではなく、紳士的な対応のご提案でした。ちょうど、事業再編税制が整備され、税務的にもM&Aをやりやすくなってきた頃です。当時、30代の創業社長に対して、一般的な生涯獲得年収のはるか数倍もの金額での買収を申入。社長はその申し入れをすんなりと承諾し、事業を手放す代わりにそれなりの創業者利益を手にしました。この話は、筆者を興奮させるには十分でした。
photo credit: tec_estromberg via photopin cc
腐っても会計人ですから、M&Aのことついては、それなりに知っていたつもりでした。しかし、中小企業に縁があるとは目から鱗でした。父が豆腐屋をたたむ姿を見て、辞めるときは何も残らないものだと思い込んでいたからです。経営者がやめても事業が存続することは、従業員にとっても決して悪い話ではありません。しかも、経営者は創業者利益を得る可能性が十分にあります。この可能性にかけたいと思う経営者は、きっとたくさんいるに違いないと確信しました。
世の中には、後継者がいないという理由だけで、清算してしまう会社も山ほどあります。一方で、後継者がいても、進むべき方向性の違いにより、引き継ぎが困難な会社もあります。どんなに立派な経営者も引退する時は、必ず来ます。いずれ訪れる引退ならば、悲惨でみじめなものではなく、悔いの残さず、できれば幸せな引退にしてあげたい。筆者は、そんなおもいから、中小企業のM&Aについて、勉強するようになりました。
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