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VALUというネットサービスで、人気YouTuberヒカルさんがインサイダー騒動を引き起こしました。
一部のユーザーにとって、大きな問題となったこの騒動。そもそも、何が問題だったのでしょうか。よくよく調べてみると、今後の資金調達(クラウドファンディング)の転換点のようなものを筆者は感じました。フィンテックってここまで進んでいるんですね。
さて今回は、VALU騒動の真相とフィンテックの可能性について探っていきます。
この騒動をあまりご存知ない方のために、まずは登場人物からご紹介させて頂きます。この騒動の中心人物は、YouTuberのヒカルさんです。
ヒカルさんは、2016年3月にYouTubeにヒカルチャンネルを開設し、同年12月にはチャンネル登録者数が100万人を突破します。スゴいことですよね。
ヒカルさんを一躍有名にしたのは、祭りのテキ屋のくじを検証する動画です。1回300円のくじを15万円分購入しても、当たりくじが入っていないということを、実際に証明してみせたのです。
この動画により、今までヒカルさんを知らなかった人にも知られるようになりました。筆者もその一人です。
子どもの頃から抱いていたテキ屋さんに対する大きな疑問が解消されるとともに、テキ屋さんとの一触即発なリアルな雰囲気は、テレビとは一味違った迫力がありました。
人気YouTuberの仲間入りを果たしたヒカルさんは、2016年11月 YouTuber専門の事務所 NextStageを設立します。そこには、ヒカルさんの他、禁断ボーイズさん・ラファエルさんなどが所属しました。
禁断ボーイズは、4人の個性的なメンバーで構成されています。ケンカ、下ネタ、セクハラなどの過激な動画が多く、いわゆる「やってみた」系のYouTuberです。
元々、自衛隊で今は大企業の営業マンのYouTuberです。仮面をつけているのは、会社に顔バレしないためです。副業のFXや不動産が大当たりし、メインの収入源となっているそうです。
今回のVALU騒動ですが、このVALUってものが何なのかわからないという方も多いかもしれません。
VALUは、元々アーティストなどの原石を金銭的に応援するために作られたシステムです。
ある意味、クラウド・ファンディングと似ています。クラウド・ファンディングが明確な目的や企画に対して投資を求めるのに対し、VALUは個性や経歴、将来性を投資者にアピールできれば、発行者は資金調達が可能になります。投資対象は人そのものになります。
簡単にいうと、VALUというのは、会社単位ではなくて個人単位で株式を発行して、資金を集めることができるサービスです。調達方法は、現金ではなく、ビットコインで行われています。
VALUでは株のことを「VA」と呼び、株主のことを「VALUER」と呼びます。
VALUも株式と同じで、たくさん出資者がいるところはVAの価値がどんどん上がっていって、買った時よりも高い値段で売ることができるようになります。
また、VALUには、出資してくれた人に限定コンテンツを見せるような株主優待のような制度もありますが、あまり使われていないようです。
このように、VALUとは資金を調達する手段にもなり、ネット上の仮想の株取引とも言われています。
VALUは、Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSアカウントで、個人の市場価値を可視化できます。ちなみに、堀江貴文さんもこのサービスを利用しています。
私のVALUの時価総額8億円相当を超えました。。 https://t.co/Nf1qxM1uZT すげえ売れてる。。
株式のように自分の価値を取引できる「VALU」、購入にはビットコインを利用 (TechCrunch Japan) https://t.co/TYOC3gn0H0— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) June 2, 2017
気軽に自分の価値を可視化できるので、興味本位で登録した人も多かったのではと思います。ヒカルさんらNext Stageの面々もそうだったのではないでしょうか。(ちなみに、筆者の市場価値は0.516BTCでした。)
ヒカルさんがVALUを始めると、VAを購入するファンの人が殺到しました。VALUでは、VAが安い時に購入し高くなってから売却することで、儲けを生み出すことができます。ヒカルさんもVALUを始めた当初に自身のVALUERとなり、大量のVAを購入しています。
ここまでヒカルさんは何も悪くありません。この後にヒカルさんたちが行ったことが、今回の騒動に繋がっていくことになります。
株の世界でもよく耳にするインサイダー取引ですが、株によく似たVAでも同じことが起こってしまったのです。
インサイダー取引とは、会社内の人間が会社に今後引き起る重要な事実、株に関わる内容を知りつつ、株式の売買をすることです。(例えば、会社が倒産するとわかったときに、その会社関係者が持っていた株を売却すると、インサイダー取引となってしまいます。)
では、時系列でみていきましょう。
ヒカルさんは、8月10日に仲間のラファエルさん、禁断ボーイズのいっくんさんらとともにVALUを開始。人気YouTuberということもあり、連日ストップ高での買い注文が続いていました。
ところが、8月15日になって事態は急変します。ヒカルさんたちは、何の告知もなく所持していた全VAを売り抜けたのです。当然、それまで高騰していたVAは大暴落。一部の人を除けば、ほとんどのVALUER(株主)が損をすることになったのです。
この一連の騒動で、ヒカルさんたちが得たのは、数千万円単位の利益と言われています。これが、VALU騒動の大まかな経緯です。
もしVAが本当の株式だったら、インサイダー取引となり、ヒカルさんたちはブタ箱行きです。しかしながら、VAは法律上、”証券”ではなく、単なる”商品”です。つまり、金融関係の法律がまったく適用できないということになります。
VALUは、商品をオークションサイトで売買しているような体裁を取ることにより、証券取引法の枠組み外でサービスを提供しています。だから、インサイダー取引には該当しないのです。
仮想通貨や仮想株式は、まだ生まれたばかりのサービスということもあり、法整備が全く追いついていません。なので、裁ききれない問題が内在しています。
ヒカルさんはインサイダー取引について、上のようにツイートしています。
その通りなのですが、当の本人がこのような発言をしてしまっては、おしまいですよね。案の定、ネットでは大炎上となったのです。
この発言をみると、ヒカルさんに弁解の余地がないように思います。築くのは大変で失うのが一瞬なのが、信頼です。誰かを故意に裏切ったのであれば、信頼を回復させることは容易ではありません。今後、YouTuberとして活躍するためには、イチから信頼を勝ち取っていくしかありません。
過激ではありましたが、ヒカルさんの着眼点は良かったので、このような行動は非常に残念でなりません。
個人が気軽に情報を発信し、それがおカネになる時代。VALUに限った話ではありませんが、法の盲点をついて、本来の趣旨とは違った運用を行う人が、今後も出てくると思います。
自分の身を守るためには、情報を鵜呑みにしない情報リテラシーが益々と大切になっていきますね。
儲けには、キャピタルゲインとインカムゲインの2つがあります。
一般的に、キャピタルゲインは、保有していた資産の値段が変動することによって得られる収益のことを指します。価格が変動するものを安く購入して、高くなった時に売却して得られる値上がり益がキャピタルゲインです。
今回、ヒカルさんが手にしたのが、キャピタルゲインです。
これに対して、インカムゲインとは、ある資産を保有することで安定的・継続的に受け取ることのできる現金収入のことを指します。
会社の場合、その1年間に稼いだ利益について、会社の所有者である株主に対して配当を行う必要があります。配当金額については、通常会社が獲得した利益の範囲内で、取締役会が提示して、株主総会で承認されることにより、支払いが行われます。
この権利を、利益配当請求権と言います。
しかし、VALUの場合にはこれがありません。VALUERに対して、「これだけ儲かったので、これだけ還元します」というリターンを約束する必要がないのです。
そもそも、VALUにおいては、人を応援することが目的なのでこれを求めてはいけないものなのでしょうね。
VALUでは、株主優待をしてもしなくても良いことになっています。まだ新しいサービスなので、あまり活用していない(意識していない)というのが現状かもしれません。
VALUの利用規約には、以下のようなガイドラインが設定されています。
- 換金性の高いものや、金銭的な見返りの約束などを行うもの現金、BTCを含む仮想通貨、電子マネー等の提供
- 債券、有価証券、保険等の金融商品の提供
- VALUERまたは第三者が発行するVALUの購入を約束する行為
- 情報商材の提供
- マルチビジネスに関連する商品の提供
- コンピュータウィルスを含むデジタルコンテンツの提供
- 禁制品(麻薬等の薬物、武器、危険物を含むがこれに限られないものとします)の提供
- 当社、他の会員、第三者の権利を侵害するまたはそのおそれのある商品またはサービス(偽ブランド品、海賊版の商品、二次創作品を含むがこれに限られないものとします)の提供
- 犯罪等によって入手した商品、盗品等の提供
- 公序良俗に反する商品またはサービス(アダルト、児童ポルノに関する商品、わいせつな商品、性的サービスを含むがこれらに限られないものとします)の提供
- 販売にあたって法律上の許認可が必要な商品(たばこ、医薬品等を含むがこれに限られないものとします)の提供。ただし、発行者が自らの責任と負担で許認可を取得した商品はこの限りではありません。
- 人体、臓器、細胞、血液またはそれに類するものの提供
- 生き物の提供
- その他、当社が不適切と判断した商品・サービスの提供
(出典:利用規約)
このような騒動があったので、今後は独自の特典を設定してくる人もでてきそうな気がします。
VALUと株式との最大の違いが、ここにあります。
会社の場合は組織で運営されているので、仮に経営者や従業員が予期しない健康上のトラブルや事故に遭遇しても、代わりの人を立てて事業を継続することができます。
しかし、VAの場合は代役を立てるということができません。「人が亡くなったので、価値がゼロになりました」というのは、仕方のないことですが、悲しいものがあります。
そう考えると、VAを株式のように見立てて投資するのは、非常にリスキーですね。
今回の騒動で問題点が浮き彫りになったVALUですが、人を応援するという視点で考えると、斬新なサービスだと個人的には感じています。今までも”フォロー”という仕組みありましたが、もっと直接的に(VAとして)対象者と絡むことができるのです。しかも、プロジェクト本位ではないところがミソです。
いつまでも、アメリカが作ったサービスをただただ使うだけでは面白くありませんよね。閉鎖的な日本の地でこのような画期的なサービスが立ち上がったのは、とても喜ばしく思っています。
とはいえ、直接的な利害関係者になるだけに、きっと今後もトラブルも多いことでしょう。VALUはまだまだ実験段階のサービスです。今後、個人を応援する仕組みがもっともっと整備されていけば、ものすごい可能性が出てくるのではないでしょうか。小手先のテクニックではなく、本物の理念が試される時代が訪れそうな予感がします。
運営元のVALU社も、「利用者保護を最優先にしたルールを作る」と発表しています。今後のVALUの動向に注視していきたいと思います。
行動する上での価値観、判断基準、道徳観、倫理観といったものを総称したのが、理念です。
理念がなければ、関係者とベクトルがあわず、コミュニケーションが滞り、不調和や不正が発生し、それがお客さまに伝わり、業績が低迷します。今回のVALU騒動がまさにそうですね。
「自分が何のために存在するのか?」という存在意義を相互に確認するツールとすることが、VALUの進化系ではないかと密かに思っております。
続けて、こちらのコンテンツもご覧くださいませ(๑˃̵ᴗ˂̵)و テヘペロ
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