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【IT活用】楽天三木谷社長のしたたかなM&A戦略

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大学卒業後、会計事務所・M&A専門会社(現在、東証1部上場)を経て、平成20年株式会社コスモスコンサルティングに入社。 「答えは、社長の心の中にある」がモットーで、社長の話に真摯に耳を傾け、企業の発展と存続のため、社長と後継者の真の気持ちに重きを置いた事業承継対策・勇退のサポートに取り組んでいる。 詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。 ☞ プロフィール

9月9日、楽天がキャッシュバックを武器に会員制アフィリエイトモールを展開する米Ebates(イーベイツ)を1,000億円で買収すると発表しました。

楽天は9日、インターネット通販関連サイト運営の米イーベイツ(米カリフォルニア州)を約10億ドル(約1050億円)で買収し、100%出資子会社にすると発表した。米国などで消費者還元策として浸透している現金還元やクーポン配布などを手掛けるイーベイツ買収で、ネット通販の海外展開を強化する。(情報提供元:日本経済新聞社

楽天は、今年の2月にも、無料メッセージアプリのViber(バイバー)を900億円以上で買収しています。巨額の買収を繰り返す楽天の三木谷社長。その動向が気になるところです。

さて今回は、楽天の三木谷浩史社長のM&Aに対する考え方について探っていきたいと思います。

この記事は、こんな人におすすめです!
  • 楽天の動向や三木谷社長の考え方が気になる人
  • 企業買収を考えている人
  • ITをフル活用したい人

”24時間仕事バカ”と呼ばれた三木谷社長のロマン

創業時代を支えた強い信念

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三木谷社長は、一橋大学を卒業したいわゆるエリートです。日本興業銀行時代にも仕事が評価され、ハーバード大学でMBAの資格も取得しています。一見、エリート街道まっしぐらな三木谷社長ですが、アメリカ留学により企業家魂に火がつきます。一念発起し、インターネット・ショッピングモールでの起業を決意します。興銀時代を知る同僚の中には、「大企業も失敗していることを、三木谷君がやって成功する訳がない」と、嘲笑した人もいたそうです。

しかし、三木谷社長は、そんなことは気にも止めません。興銀時代には、国家間にまたがる何億円、何十億円の単位のM&Aを任されていた男が、月額たったの5万円の出店契約を取るために、文字通り、全国を走り回ったのです。三木谷社長を支えたのは、“システムに強い人間が商売をする”のではなく、“商売が得意な人が簡単に店を開ける仕組みを創る”という明確なコンセプトと、”みんなが気づいていないところにチャンスがある!”という強い信念です。

楽天の強さの秘密

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楽天のビジネスモデルは、グーグルとかアマゾンのような、シンプルなものではありません。両者と比べると、ものすごく泥臭いものです。まず、”楽天市場”というショッピングモールを作り、出店者を募ります。ちなみに、楽天がオープンした1997年5月の出店数は、わずか13店舗しかありませんでした。設立当初は、出店するオーナーと秋葉原までパソコンを買いに出かけ、設置の手伝いまでしていたそうです。

楽天では、出店したら「それでおしまい」というわけではありません。どうすれば出店者が売上を伸ばせるかを一緒になって徹底的に考えるのが、楽天イズムなのです。そのために、ホームページ作りのノウハウを提供し、ありとあらゆるきめ細かなサービスを行っているのです。その結果として、消費者は「楽天は商品が充実している」を知り、さらに集まった消費者を狙って、次々と出店者が増えていきました。

楽天の強さの秘密は、”出店者との間に結ばれた絆”であり、その絆まで含めてのビジネスモデルなのです。パソコンが普及した今でも、そのイズムは社内に浸透し、脈々と受け継がれています。

買収による新規分野への進出

photo credit: projectdesign via cc

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楽天は、2000年4月にはJASDAQに株式を公開します。資金調達を実現したことで、買収による新規分野への進出を加速させます。「スピード!!スピード!!スピード!!」という経営理念を掲げる楽天が、”時間を買う”と言われるM&Aを行うのは、自然の流れでした。 2000年9月にベターライフテレビ(現:楽天ティービー)を完全子会社化したのを皮切りに、同年10月にメーリングリストサービスを提供するインフォキャスト(現:楽天トラベル)を。さらに、日本出版販売との共同出資により、楽天ブックスを設立し、書籍販売事業をスタートしています。12月にはポータルサイトであるインフォシークを買収し、その勢いは留まるところを知りません。その後も、順調に楽天経済圏を広げていき、現在に至っています。

楽天の狙い

ビッグデータの活用

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冒頭でも申し上げましたが、楽天の目的は、”世界一のインターネットサービス企業”を目指すことです。より大きな目的を達成するために、大きな利益を上げることが求められます。一般的に、利益を上げる方法は、売上を増やすか、費用を減らすかの、2つのアクションしかありません。闇雲に行動しても求める結果は得られないので、できるだけデータを活用し、確率を高めるのが賢いやり方です。そこで、活用するのがビッグデータです。

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さて、ここで一つ質問です。例えば、売上を増やすためにビッグデータを活用する場合、どのような情報を分析したら、売上増加につながるでしょうか。少し、頭をひねって考えてみてくだいね。性別データ、年齢データ、Webアクセスデータ、口コミデータ、はたまた天候データでしょうか。はい、タイムアップです。答えは、”購買データ”です。そもそも、”購買データ”がなければ、売上を増やすための効果測定も、分析も、機能改善も何一つ行うことはできません。 rakuten_mikitani6

ネット業界では、購買データの分析が日常業務です。いつ、どこで、誰が、購買したのか、その経路まで一目瞭然です。これが、リアル店舗だとそうはいきません。まず、誰が購買したのかがわからないからです。

例えば、Webアクセス解析ツールのGoogleアナリティクスでも、購買経路の分析などが可能です。AmazonなどのECで良く活用されるレコメンデーション技術なども、すべて“購買”につなげるためのソリューションです。

もちろん、楽天でもお店を出せば、RMS(Rakuten Management System)で購買行動を分析することができます。売上を増やすために、いかに顧客数を増やすか、客単価を上げるか、再来店(再購買)の頻度を増やすか、毎日が効果測定の繰り返しです。この購買情報とその分析ノウハウこそが、楽天をさらなる強者へと導いていくことになるのです。

リアル店舗での購買を測定する方法

 

楽天は、ネット店舗だけでなく、リアル店舗においてもその購買情報を取得すべく一手を打っています。このようにお話させていただくと、「リアル店舗の購買データは、POSレジによって収集しているのでは?」という読者の方も多いかもしれません。

もちろん、大手小売りチェーンも、多くの購買データを収集しています。しかし、購買の日時と商品名、金額などは記録されているものの、一番大切な”購買者ID”とひも付いていないことが、ほとんどです。 また、消費者は、さまざまな店舗から購買をしており、ひとつの会社のPOSデータからだけでは、購買行動を分析することはできません。大手企業と言えども、その分析を行うことは、極めて困難なことなのです。

だからこそ、楽天は、自社のポイントカードやクレジットカードを発行しています。「誰が購入したのか」というデータを収集し、その紐付けを行っているのです。楽天スーパーポイントの還元やリアル店舗での楽天カードの普及の目的は、ここにあります。ちなみに、あおぞらカード(現:楽天カード)を買収したのは、2004年の9月のことです。

楽天のM&Aの目的

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このように紐解いていくと、楽天が行なってきたM&Aの目的が、”新規ユーザーの獲得”ということが、明確に浮かび上がってきます。せっかくですので、楽天が2月に買収したViberを例に、一緒に考えてみましょう。

Viberは、売上1億円で当期純損益30億円の赤字の会社です。70億円以上の債務超過で、財務的には実質破綻先状態です。このビジネスだけで収益化させるのは、いくら百戦錬磨の三木谷社長といえども至難の業です。同じような無料アプリ通話を展開するLINEの場合、それをスタンプなどの販売で回収しています。Viberが同じ手法を用いるかはわかりませんが、二番煎じのスタンプで、900億円も稼ぎ出せるとは到底思えません。

しかし、これを新規ユーザー獲得費用と考えれば、話が変わってきます。Viberは、世界で9億人のユーザーを抱えています。9億人のユーザーを900億円、つまり1ユーザーあたり100円で獲得できる計算になります。このように、視点を変えることで、金額に対する捉え方も変わったのではないでしょうか。

しかも、Viberの買収額は900億円。大きいとはいえ、楽天の売上高の5分の1です。Facebookが、同じ対話アプリWhatsAppに払ったのは、約2兆円と言われています。赤字企業とはいえ、3番手クラスの企業を、約20分の1の金額で手に入れた三木谷社長の手腕と度胸は、常人では計り知れません。

Viber 5.0は日本において楽天会員ID・楽天スーパーポイントと連携。楽天会員IDを「Viber」に登録することが可能となった。ユーザーの利用実績に応じて楽天スーパーポイントを付与するキャンペーン「楽天Viberスクール」を実施している。楽天会員IDをViberに登録することで、同アプリの各種機能の新規利用や、通話やメッセージ機能の毎日の利用で、楽天スーパーポイントを獲得できる。(情報提供元:アスキー

筆者のひとりごと

楽天のビジネスモデルは、泥臭く手間がかかるものです。それだけに、他のIT企業のように、爆発的に世界に広げるのは難しいかもしれません。しかし、いったんその地域に根付けば、それはかなり強固なものになります。今後の世界戦略では、買収したサービスの上に、EC事業を付け加えるという、今までやってきたことと、真逆の攻め方になります。サービスが浸透していない海外で、いかに相乗効果(シナジー)を生み出していくかが、勝負の鍵を握ります。今後、三木谷社長が繰り広げる極上のエンターテイメントが、楽しみでなりません。

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