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【ゴールデンイーグルス】東北楽天を優勝へと導いた立花陽三の手腕

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豆腐屋の二代目である父親が廃業し苦労した経験から、事業を継続することの難しさを実感。苦しさを打ち明けられない社長の心の内に関心を抱くようになる。 会計事務所・M&A専門会社(東証1部上場)・コンサル会社を経て、「社長勇退ドットコム」管理人を務める。メルマガ、ブログ、YouTubeと幅広く情報発信し、巷では「勇退マニア」と呼ばれているとかいないとか…。「答えは、社長の心の中にある」がモットーで、社長の”おもい”に耳を傾け、会社の”成長”と”発展”のため、勇退のサポートに真摯に取り組んでいる。 ☞ 詳しくはこちらから

昨年の覇者、東北楽天ゴールデンイーグルスは、昨年の栄光から一転、厳しい茨(いばら)のシーズンとなってしまいました。昨年の感動がウソのようです。まぁ、田中将大投手がメージャーに移籍してしまったから、仕方のないことかもしれません。星野仙一監督も、今季限りでの退任を発表しています。

さて今回は、昨年の楽天優勝の影の立役者立花陽三球団社長を探っていきたいと思います。

この記事は、こんな人におすすめです!
  • 楽天が好きな人
  • 人材不足でお悩みの人
  • データ重視の考え方の人

2013年のプロ野球ペナントレースを制した楽天

https://www.youtube.com/watch?v=tHoLduh2ChM

2013年(昨年)のプロ野球ペナントレースは、読売ジャイアンツを死闘の末、楽天の優勝で幕を閉じました。球団創設9年目で初めて手にした日本一の栄冠は、東日本大震災で被害を受けた東北のファンのみならず、日本中の人に勇気と感動を与えました。あの地鳴りがなるほどの大声援は、今も忘れられません。

その中で、前人未到の記録を打ち立てたエース・田中投手とともに注目を集めたのが、2012年8月に外資系証券会社から転身し、就任1年で優勝を成し遂げた立花陽三社長です。まったくの異業種に飛び込んだ立花社長が、どのようなロマンを持って仕事を成し遂げてきたのか、探っていきたいと思います。

立花陽三球団社長とは

Rakuteneagles_tachibana2

[立花陽三氏のプロフィール]
1971年生まれ。東京都出身。慶應義塾大学卒。高校一大学時代はラグビー選手としても活躍。大学卒業後はソロモンブラザーズ証券に入社。その後、ゴールドマン・サックス証券を経てメリルリンチ日本証券入社。2011年、同社常務執行役員就任。その後、2012年8月から現職。2013年には球団史上初の日本一を達成する。座右の銘「勝つことのみが善である」

https://www.youtube.com/watch?v=eBVHTZCTx8c

楽天への就任のきっかけは、2012年5月の友人たちと出かけた東北の旅でした。立花社長は、「何か復興の役に立ちたい」というおもいで東北の地に足を踏み入れたのですが、結局何もできないまま帰ることになってしまいました。

なんとも言えない焦燥感に苛まれていたその翌週、楽天の三木谷浩史会長との食事会で、「東北で球団社長やってよ」と声をかけられたのです。”運命”としか思えないタイミングに、立花社長は、即決で東北行きを決めたそうです。

ちなみに、立花社長は、高校時代にラグビーの日本代表にまで上り詰めていますが、野球に関しては”ズブの素人”でした。

ビジネスでの成功と野球での優勝、両方の確率を比較

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「優勝と黒字化」。これが、三木谷浩史球団オーナーから課せられたミッションでした。今までAクラスが1度だけ、赤字続きの経営状況を考えると、簡単に社長の座を引き受けられるものではありません。立花社長がその答えを導き出したのは、とても単純な”確率論”でした。

  • 事業を起こして、業界トップに立てる確率: 数万分の1以下

  • パーリーグ6球団で、優勝する確率: 6分の1

毎年全球団ゼロから一斉にスタートする野球界には、ビジネスの世界のような先行者利益はありません。生き馬の目を抜く外資系金融業界で揉まれた立花社長の目には、それがとても魅力的に映りました。「確率論で考えると、それほど低くはない」と考えたからです。

また、立花社長は、黒字化についても、舵取りさえ間違わなければ十分に可能だと判断しました。プロ野球参入の際に球場改修に投じた総額約90億円の減価償却費を除けば、収支はほぼイーブン。キャッシュ・フローは、回っていたのです。

“史上最弱”と言われていた楽天

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球界に参入した2005年、楽天は、ソフトバンクに51.5ゲーム差をつけられ“史上最弱”とも言われていました。過去にAクラス入りしたのも、野村克也監督に率いられた2009年の1度きりでした。

また、楽天の歴代の監督を見てみると、ご存知の通り、円満な辞め方をしていません。田尾監督とブラウン監督は、複数年契約だったにも関わらず一年で交代。特に、楽天誕生一年目の田尾監督は、「順位は気にしない」との約束でしたが、最下位に終わると、あっさりとクビになっています。Aクラス入りに貢献した野村監督ですら、ちょっぴり(!?)おかしな辞め方をしています。

しかし、立花社長は、このような状況も意に介しません。さすが、外資系金融機関出身のエリートです。数字の厳しさには、慣れっこだったのです。ちなみに、立花社長の座右の銘は「勝つことのみが善である」。これは、元ラグビー日本代表監督で尊敬する故宿澤広朗のモットーです。立花社長は、THE21の取材に対してこのように語っています。

「確かに数字は求められますが、最初にそのことをしっかり説明され、こちらも納得して働いているわけです。その点ではプロ野球選手と似ているのかもしれませんね。外資系企業から球団経営に転じて、文化の違いに戸惑うようなことは、ほとんどありませんでした」(取材提供元:THE21 20142月号

お手本にした二人の球団関係者

思い立ったら、すぐ実行。野球素人の立花社長は、社長就任後すぐに渡米しました。フロントの大きな仕事は、経営の黒字化です。そのミッションを果たすために、メジャーリーグの名だたる社長やGMから直に話を聞きまくったのです。その中で、特にお手本としたのが、この二人でした。

マネジメントは、オークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーン

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立花社長は、オークランド・アスレチックスの伝説のGMビリー・ビーン氏本人から、セイバー・メトリクスについて教わっています。

「日本とアメリカではリーグの規模もシステムもだいぶ違うので、そのまま参考にすることはできませんが、赤字球団が多い日本に比べ、メジャーリーグでは黒字が当たり前。いったいどうしているのかと、メジャー6球団の経営陣に話を聞いてきました。ビーン氏にも、少ないお金でどう効果的なマネジメントを行なうか、スカウトの際に注目すべき点などをうかがい、非常に勉強になりました。」

セイバー・メトリクスとは、統計学を用いて野球を分析する手法のことです。ちなみに、この手法を駆使して、貧乏球団から常勝軍団へと育て上げたビーリー・ビーン氏は、映画「マネーボール」の主人公にもなっています。

ファンサービスは、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの球団社長デリック・ホール

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楽天のファンサービスは、アリゾナ・ダイヤモンドバックスのデリック・ホール球団社長を参考にしています。ダイヤモンドバックスの球団職員は、「FAWTSY(Find A Way To Say Yes イエスという方法を見つけよう!)」と書かれた缶バッジを常に胸につけています。その缶バッチからは、ファンのためにできることは、何でもやろうという姿勢と決意が感じられます。この姿を見て、立花社長は、「まだまだ、できることはたくさんある。ファンの意見を聞くために球団の代表をやるんだ」という気持ちを強くしたそうです。

外資系金融マンならではの戦い方

就任直後いきなりの優勝宣言

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「チームが4位ということは、あなたたちが4位ということです」。シーズンを4位で終えた立花社長は、100人の球団職員にこのように伝えました。そして、続けて熱いおもいを職員たちにぶつけたのです。

「12球団中、最もハードワークをすれば、必ず1位になれる。ただし、近道はない。選手、球団職員、ファンがお互いに尊敬しあい、本気で挑めば絶対に勝てる」

万年Bクラスの本気の優勝宣言でした。年明け早々、立花社長は動きました。選手と職員が入れ子になってV字を描いた写真を撮影し、堂々と優勝宣言をぶち上げたのです。球団社員とこのような写真を撮るのは、極めて珍しいケースです。この写真には、立花社長の強い信念が宿っている気がします。

データは、”共有”しなければ、意味がない!

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立花社長がまず最初に行ったのは、チームを徹底的に分析することでした。とはいえ、野球に関してはズブの素人。元外資系金融マンとしての経験を活かし、誰もが納得できる数字的根拠と、緻密な数字分析でチームの弱点を突き止めていったのです。

「マネーボールではないが、数字的なアプローチのほうがわかりやすいし、ロジカルだと思う。他球団と比べてうちはどこが強いのか、弱いのか。それらを数字的に判断して、『じゃあ、ここを強くしよう』とアプローチしたのです。」

「データそのものは、どの球団も持っているものです。ただ、それをフロントだけでなく、監督、コーチ、選手全員で共有できてこそ、生きてくるのです。ジョーンズやマギーの補強も、データを見ながら星野仙一監督やコーチ陣と意見交換をして出した結論です。星野監督は怖い印象をお持ちの方もいると思いますし、正直、私も最初はそう思っていましたが(笑)、実際にはとてもクレバーで、こちらの話もよく聞いてくださる方です。」

「頑張ろう!」というスローガンだけでは、人はなかなか動かないものです。データをもとに課題を浮き彫りにし、現場と経営陣が一体となってこそ、課題解決に取り組める環境が整います。その情報がどのような意味を持ち、どのように行動すれば課題解決につなげられるのか、そのために、誰が情報を把握していなければいけないのか。“情報の共有化”は、チームを導くために必要不可欠です。

一番大切なのは、コミュニケーション

学生時代にラグビー選手でもあった立花社長は、選手のパフォーマンスが、メンタルによって大きく左右されることも、よく理解していました。だから、試合に負けたときや、うまくいかなかったときには、必ず選手に声をかけて、フォローを欠かさなかったそうです。決して、データありきの人ではありません。

立花社長は、データ分析だけに頼ることなく、現場とフロント、ファンとの架け橋となって、相手の気持ちを深く知ろうと尽力しました。人は自分のことを理解してくれる人のことを信じる傾向があります。「相手をわかろう」という姿勢を示すことが、良好な人間関係を築く第一歩です。立花社長を駆り立てた原動力は、「何か復興の役に立ちたい」という熱きおもいです。

 筆者のひとりごと

常に周囲に気を配り、試合後のフォローも欠かさなかった立花社長ですが、シーズン24勝0敗の田中将大投手には、ほとんど声をかける機会がなかったみたいです。そりゃそうかもしれませんね。

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