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昨年12月1日、日本政府は、天皇陛下の退位日を2019年4月30日と決定しました。特例法ですが、生前退位(生きているうちに行う皇位継承)は、約200年ぶりとのこと。
天皇陛下もすでに84歳、歴代天皇の中で3番目のご年齢だそうです。今までのしきたりにとらわれることなく、大きな視点で判断した天皇陛下のご決断には恐れ入ります。
さて今回は、建国記念日だからこそ考えたい、我が祖国 ニッポンの成り立ちと天皇家のお仕事について、探っていきたいと思います。
天皇家は、弥生・古墳時代から男系の血が途切れずに続いてる、世界で一番古い皇族です。
紀元前660年2月11日に神武天皇が初代天皇に即位して、約2700年もの間、一度も途切れていないから、スゴいですよね。ちなみに、今上天皇(きんじょうてんのう ※「今の天皇」という意味)で125代目。時代によって、牛耳る権力者や政権は変わっていますが、天皇制度は存続しつづけています。
世界史年表を見てみると、国家は数十年、または百年単位で成立と滅亡を繰り返していることがわかります。日本以外の諸外国の皇族は、どのような歴史を辿っているのでしょうか。
今から百年ほど前には、世界に約50の君主制国家がありましたが、その数は次第に減少。現在では、君主制国家は日本を含め28ケ国しかありません。(米ワシントンポスト)
たとえば、中国の歴史は王朝交代の歴史で、三百年以上持ちこたえた王朝はありません。西暦1911年の辛亥革命により、清朝最後の皇帝溥儀(ふぎ)が退位し、中国から王朝はなくなりました。「ラストエンペラー」という映画にもなったので、ご存知の方も多いと思います。
また、ヨーロッパで一番歴史が古い王朝はイギリスですが、初代国王のウィリアム一世が英国を征服したのが西暦1066年なので、英国王室の歴史は900年余りです。ちなみに、エリザベス女王は、第41代目の王(女王)になります。
1974年まで世界最古の国と言えば、エチオピアでした。しかし、革命で滅ぼされたので、日本の大和王朝が晴れて世界最古の王族となったのです。
世界には190を超える国があります。その中で、古代から続く王朝を守り、今も存在している日本という国に生まれたことは、とても誇らしいことですよね。逆に、徹底した戦後教育のせいもあってか、この事実があまり知られていないことは、とても残念に思います。
それにしても、2700年もの長きにわたって、同一の王朝というのは、凄いことですよね。
戦争に負けた敗戦国の王は、殺されるか、国外追放されるのが一般的であり、世界の常識です。そりゃそうです。いつまた報復に合うかわかったものではありません。しかし、日本においては、このあたりまえのことが行われてきませんでした。
今まで、権勢を誇った藤原氏も、いつでも朝廷を乗っ取ろうと思えばできた鎌倉幕府も、天下を取った豊臣秀吉や徳川家康も、天皇家を滅ぼそうとは考えませんでした。
時の権力者は、権威と権力を巧みに使い分けていたのです。
とりわけ、天皇家が大きな脚光を浴びるようになったのは、幕末明治の政権交代の時からです。
現在放送中の大河ドラマ「西郷どん」でも描かれることになると思いますが、日本の近代国家への脱皮が、迅速かつ無血で達成されたのも、”天皇制度のおかげ”とも言われています。
幕末、鳥羽伏見の戦いで、兵力で上回る徳川軍が、戦わずに天皇に統治を戻したのは、討幕軍が錦の御旗を掲げていたからに他なりません。将軍慶喜は、倒幕が天皇の意思ということを知り、大義を見失ってしまいます。この後、慶喜は大政奉還を決断することとなりました。
天皇の存在が、内乱の長期化による外国勢力の介入を退けたとも考えられます。
戦後、マッカーサー元帥に伝えた昭和天皇のお言葉は、日本人ならグッと込み上げるものがあるはずです。
1945年8月15日、昭和天皇による玉音放送をもって、第二次世界大戦は終結。来日したマッカーサーは十日余りで、日本軍の無条件降伏調印、東条英機ら39人の戦争犯罪人の逮捕などを断行していきました。
暗殺や逮捕の恐れもある中、昭和天皇はマッカーサーのいるアメリカ大使館公邸に訪問しました。護衛もなく、通訳一人だけを連れ…。
その時の、昭和天皇のお言葉がこちらです。
「日本国天皇はこの私であります。戦争に関する一切の責任はこの私にあります。私の命においてすべてが行なわれました限り、日本にはただ一人の戦犯もおりません。絞首刑はもちろんのこと、いかなる極刑に処されても、いつでも応ずるだけの覚悟があります。
しかしながら、罪なき8000万の国民が住むに家なく着るに衣なく、食べるに食なき姿において、まさに深憂に耐えんものがあります。温かき閣下のご配慮を持ちまして、国民たちの衣食住の点のみにご高配を賜りますように」
「マッカーサー回想記」には、自らの命を差し出した昭和天皇の記述が残されています。
「私は大きい感動にゆすぶられた。この勇気に満ちた態度に、私の骨の髄までもゆり動かされた。私はその瞬間、私の眼前にいる天皇が、個人の資格においても日本における最高の紳士である、と思った」
この年11月、アメリカ政府は、昭和天皇の戦争責任を調査するよう要請しましたが、マッカーサーは「戦争責任を追及できる証拠は一切ない」という、異例の回答したのです。
天皇の捨て身の覚悟によって、戦後の日本と日本人は救われました。
「そんなの”日本の象徴”に決まってるじゃん!」そんな声が聞こえてきます。でも、その”象徴”ってのが、いまいちピンときていないという方も多いと思います。
仮に、古事記をベースに、この質問に答えるのであれば、”最高神の末裔”という回答になるそうです。
古事記には、天皇の先祖は天照大御神(あまてらすのおおみかみ)とされています。神様の世界で一番エラい太陽神の子孫が天孫降臨(てんそんこうりん)によって、この世に降り立って統治したのが、日本の始まりです。その天照大御神の五代孫にあたる神武天皇が創った”大和王朝”が、後に”日本”と呼ばれ、神武天皇の即位日2月11日が建国記念日になりました。
歴史的な事実かどうかは別にして、日本人はこのストーリーを大切に守りました。天皇を神格化するために、古事記・日本書紀は大きな役割を果たしました。特に、古事記は、「日本を統治する権利は、天照大御神の子孫である天皇家にしかなく、それに背くことは、神を敵に回す」という意識を植え付けた書物です。誤解を恐れずに発言するならば、一種の”洗脳状態”を作り出したのです。
始まりはどうあれ、長い歴史により、天皇制度は日本の制度として完全に根付いています。天皇からの任命がなければ、日本を統治する資格はありませんし、日本が正常に機能しなくなってしまいます。これは、今も昔も変わりません。
天皇家を滅ぼして、日本を統治する権利を奪うことなどありえないという前提で成り立っているのが、日本という国です。改めて考えてみると、スゴい国ですよね。
では、天皇陛下は具体的にどんな仕事をしているのでしょうか?
内閣総理大臣の任命や、国会の開会式でお言葉を述べられている天皇陛下の姿は、ニュースなどで見たことがある方も多いと思います。しかし、筆者も含め、断片的にしか理解していない人も多いのではないでしょうか。天皇陛下の仕事を調べてみると、とんでもない仕事の量に驚かされます ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル。
1.国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命する。
2.内閣の指名に基づいて最高裁判所長官を任命する。
3.憲法改正、法律、政令、条約を公布する。
4.国会を召集する。
5.衆議院を解散する。
6.国会議員の総選挙を公示する。
7.国務大臣その他の官吏の任免、全権委任状、大使、公使の信任状を認証する。
8.大赦、特赦、減刑などを認証する。
9.栄典を授与する。
10.批准書その他の外交文書を認証する。
11.外国の大使、公使を接受する。
12.儀式を行う。
13.国事行為を委任する。
以上が、日本国憲法に記載された天皇の国事行為です。でも、これだけでは、よくわかりません。もっと具体的にみていきましょう。
天皇陛下が署名・押印する書類は、年間1000件超あります。天皇陛下はその書類をすべて丁寧に読んだうえで署名するので、かなりハードな作業です。しかも、決裁を遅らせると政治介入となるので、体調が悪くても、執務を簡単に休むわけにはいきません。静養中や外出中であっても、お構いなし。休む暇などありゃしません。
ちなみに、押印する御璽(ぎょじ ※天皇の印鑑)は、金製で重さが3.55kgもあります。陛下のご年齢を考えると、かなりしんどいことが予想されます。
その他にも、被災地への慰問、植樹祭への出席、国体への出席、宮中祭祀・・・など、国事行為以外のお仕事もたくさんあります。ある種のボランティアです。これらの儀式・式典は年間約80件。もう、ボランティアの範疇を超えています。
にもかかわらず、天皇陛下はいつも国民の幸福をあたたかいお心で、祈ってくれています。いつも優しく穏やかなご尊顔なので、大変さなど微塵も感じさせませんが、きっと体は悲鳴を上げていたのだと思います。
これから先、従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合、どのように身を処していくことが、国にとり、国民にとり、また、私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき、考えるようになりました。既に八十を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています
今上天皇は、高齢と健康上の理由で、公務を果たすことが難しくなったと判断し、生前退位の意向を表明されました。
前立腺癌や狭心症で治療を受けながらも、たくさんの書類に目を通し、海外訪問もこなしていた天皇陛下。たまたまその地位にいらっしゃる陛下に対し、「終身その地位を全うせよ」というのは、今思えば明らかに無理のある制度だったと思います。
と同時に、国家の象徴である天皇陛下に、皇室典範について言及させてしまったのは、一国民として、とても恥ずかしい気持ちになりました。
今上天皇は、大正天皇と昭和天皇の晩年、天皇がその役割を果たせなくなった事態を目の当たりにしていました。なので、危機意識が強かったのでしょう。私心ではなく、この国を本気で憂いている陛下だからこそ、下せたご決断だったと思います。
平成という時代が終わり、新しい時代が幕を開けようとしています。生前退位というご決断は、事業承継にお悩みの経営者の方に、大きな勇気を与えたのではないでしょうか。
筆者が若かりし頃、「そもそも不測の事態と思うこと自体が間違い」と、上司によく叱られたものです。リーダーたるもの、あらゆるケースを常に想定し、想定の精度を高めるよう努め、不測の事態を減らしていくことが重要ですよね。
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